1級土木施工管理技士 過去問
令和7年度
問8 (問題A ユニットb 問3)

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問題

1級土木施工管理技士試験 令和7年度 問8(問題A ユニットb 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

TS(トータルステーション)・GNSS(全球測位衛星システム)を用いた盛土の情報化施工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
  • 盛土の締固め管理システムの適用可否は、施工現場の立地・地形条件が原因となる計測障害の有無、対象土の土質が締固め回数によって管理することが困難ではないこと等を確認し、判断する。
  • 施工管理に用いるTS又はGNSSは、現場内の座標既知点において正しい座標を計測できることを実測により確認し、精度が確保できない場合には、他の機器で再確認するか、従来の管理方法の採用を検討する。
  • 盛土材料のまき出しは、盛土施工範囲の全面にわたって試験施工で決定したまき出し厚さ以下となるようにし、その厚さは、TS又はGNSSによる締固め回数管理時の走行位置による面的な標高データを記録する等、適切に管理する。
  • 現場密度試験は、試験施工と同様の品質で所定の含水比の範囲が保たれる盛土材料を使用し、所定のまき出し厚・締固め回数等で施工できたことを確認できる場合であっても、規格値を満足しているか確認するため必ず実施する。

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この過去問の解説 (1件)

01

適当でない記述は「現場密度試験は…必ず実施する。」と書かれている文です。

TS・GNSSを使った情報化施工では、試験施工で十分な関係を確認し、まき出し厚さや締固め回数などが管理できている場合には、現場密度試験を大幅に削減したり、省略できる運用が想定されています。
「必ず実施する」という書き方は、その考え方と合いません。

選択肢1. 盛土の締固め管理システムの適用可否は、施工現場の立地・地形条件が原因となる計測障害の有無、対象土の土質が締固め回数によって管理することが困難ではないこと等を確認し、判断する。

TSやGNSSを使う情報化施工では、そもそも機器が正しく測位できる環境かどうかがとても重要です。
・山あいで衛星が見えにくい
・構造物に隠れてTSが視通できない
などがあると、システムがうまく機能しません。

また、土質によっては「締固め回数だけでは管理しにくい」場合があります。
(たとえば、含水比の影響が極端に大きい土など)

このような条件を事前に確認してから、システムを使うかどうか判断するという考え方は妥当です。

選択肢2. 施工管理に用いるTS又はGNSSは、現場内の座標既知点において正しい座標を計測できることを実測により確認し、精度が確保できない場合には、他の機器で再確認するか、従来の管理方法の採用を検討する。

情報化施工で使う測量機器は、座標の精度が確保されていることが前提です。
そのため、

・現場内の基準点(座標既知点)で実際に観測して、誤差を確認する
・誤差が大きければ別の機器や方法で確認する
・どうしても精度が出ないなら、従来の管理方法(丁張り・高さ測量など)に戻す

という手順は、ごく基本的な考え方です。
したがって、この記述は適切です。

選択肢3. 盛土材料のまき出しは、盛土施工範囲の全面にわたって試験施工で決定したまき出し厚さ以下となるようにし、その厚さは、TS又はGNSSによる締固め回数管理時の走行位置による面的な標高データを記録する等、適切に管理する。

情報化施工では、試験施工(トライアル)で
・適切なまき出し厚さ
・必要な締固め回数
を決めておきます。

本施工では、その厚さを超えないように管理することが重要です。
さらに、TSやGNSSで

・ブルドーザやローラの走行軌跡
・施工後の標高(高さ)

などのデータを記録して、面としてのまき出し厚さを管理するという考え方は、情報化施工ならではの管理方法です。
この説明も、システムの使い方として適切です。

選択肢4. 現場密度試験は、試験施工と同様の品質で所定の含水比の範囲が保たれる盛土材料を使用し、所定のまき出し厚・締固め回数等で施工できたことを確認できる場合であっても、規格値を満足しているか確認するため必ず実施する。

ここが適当でない記述です。

情報化施工のねらいの一つは、
・試験施工で締固め回数や締固め管理値と現場密度の関係を把握しておき、
・本施工では、TS・GNSS付きの機械から得られる締固め回数や管理値で品質を確認することで、
従来よりも現場密度試験の頻度を減らす(場合によっては省略する)ことにあります。

もちろん、最初の試験施工や要所では現場密度試験を行いますが、
「条件がそろっている場合であっても必ず実施する」という書き方は、情報化施工による効率化の考え方と合いません。

そのため、この文が適当でない説明となります。

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