1級土木施工管理技士 過去問
令和7年度
問19 (問題A ユニットb 問14)

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問題

1級土木施工管理技士試験 令和7年度 問19(問題A ユニットb 問14) (訂正依頼・報告はこちら)

場所打ち杭工法の施工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
  • オールケーシング工法では、ケーシングチューブを引き抜く際に、コンクリートの天端が下がるので、あらかじめ下がり量を考慮し、流動性の低いコンクリートを使用する。
  • オールケーシング工法では、コンクリート打込み中は、ケーシングチューブの先端も一般にコンクリート上面から所定の深さ以上挿入する。
  • リバース工法では、安定液のように粘性のあるものを使用しないため、泥水循環時において粗粒子の沈降が期待でき、一次孔底処理により泥水中のスライムはほとんど処理できる。
  • リバース工法では、スタンドパイプ内の土砂をハンマグラブで除去するが、ハンマグラブによる掘削がスタンドパイプより先行すると地盤を緩めたり崩壊させたりする。

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この過去問の解説 (1件)

01

適当でないのは、「オールケーシング工法では、ケーシングチューブを引き抜く際に、コンクリートの天端が下がるので、あらかじめ下がり量を考慮し、流動性の低いコンクリートを使用する。」と説明している記述です。
天端の下がりを見込むこと自体はよいのですが、場所打ち杭ではむしろ流動性の高いコンクリートを使う必要があります。

選択肢1. オールケーシング工法では、ケーシングチューブを引き抜く際に、コンクリートの天端が下がるので、あらかじめ下がり量を考慮し、流動性の低いコンクリートを使用する。

オールケーシング工法では、ケーシングチューブを引き抜くときに、 コンクリートが一緒に引っ張られて天端が少し下がることがあります。
そのため、あらかじめ余分に打ち込んでおく(下がり量を考慮する)のはよい考え方です。

一方で、場所打ち杭のコンクリートには、鉄筋の間やケーシングの中をよく流れて隙間なく充填できることが求められます。
そのため、実務では流動性の高いコンクリートを使うのが基本です。

この選択肢は「天端が下がるので下がり量を考慮する」という前半はよいのですが、後半で流動性の低いコンクリートを使用するとしており、ここが誤りです。流動性が低いと、充填不足や空洞の原因になりやすくなります。

選択肢2. オールケーシング工法では、コンクリート打込み中は、ケーシングチューブの先端も一般にコンクリート上面から所定の深さ以上挿入する。

この記述は適切です。

オールケーシング工法では、孔壁の保護のためにケーシングチューブを建て込んでいます。
コンクリートを打ち込むときに、ケーシングの先端がコンクリートの上面より上に出てしまうと、孔内に土砂や水が入り込んでしまうおそれがあります。

そのため、コンクリート打込み中はケーシングチューブの先端を、常にコンクリートの中に一定の深さ以上入れておくことが大切です。
この説明は、オールケーシング工法の基本的な管理内容と一致しています。

選択肢3. リバース工法では、安定液のように粘性のあるものを使用しないため、泥水循環時において粗粒子の沈降が期待でき、一次孔底処理により泥水中のスライムはほとんど処理できる。

リバース工法では、スタンドパイプ内に水や比較的低粘性の泥水を満たし、
吸い上げながら掘削土砂を排出します。
粘度があまり高くないため、重い砂粒などの粗い粒子は沈みやすい状態になっています。

また、リバース工法では、掘削後に一次孔底処理(底ならし・スライム除去)を行うことで、
泥水中のスライム(細かい泥・切りくず)をかなりの程度除去できると考えられています。

したがって、「粗粒子の沈降が期待できること」や「一次孔底処理でスライムをほとんど処理できる」という説明は、リバース工法の特徴を押さえた内容です。

選択肢4. リバース工法では、スタンドパイプ内の土砂をハンマグラブで除去するが、ハンマグラブによる掘削がスタンドパイプより先行すると地盤を緩めたり崩壊させたりする。

この記述は適切です。

リバース工法では、地表部にスタンドパイプ(太い鋼管)を建て込み、その内側をハンマグラブなどで掘削します。

もし、ハンマグラブの掘削深さがスタンドパイプの先端よりかなり深く先行してしまうと、その部分は孔壁を支える鋼管がない状態になります。すると、周りの地盤を支える力が不足し、地盤が緩んだり、孔壁が崩壊したりするおそれがあります。

そのため、実務では
ハンマグラブによる掘削をスタンドパイプよりあまり先行させないように管理することが重要です。
この選択肢は、その危険性を説明している内容になっています。

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