1級土木施工管理技士 過去問
令和7年度
問20 (問題A ユニットb 問15)

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問題

1級土木施工管理技士試験 令和7年度 問20(問題A ユニットb 問15) (訂正依頼・報告はこちら)

各種土留め工の特徴に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
  • 控え杭タイロッド式土留めは、背面地盤中に控え杭を設置し、土留め壁とタイロッドでつなげる工法で、掘削周辺に控え杭及びタイロッドを設置するための敷地が必要となる。
  • アンカー式土留めは、掘削周辺地盤中に定着させた土留めアンカーと掘削側の地盤の抵抗により土留め壁を支持する工法で、掘削周辺に地下埋設物があると適用は困難である。
  • 切梁り式土留めは、支保工と掘削側の地盤の抵抗によって土留め壁を支持する工法で、現場状況に応じた支保工の数、配置等の変更は可能である。
  • 自立式土留めは、主として掘削側の地盤の抵抗により土留め壁を支持する工法で、支保工がないため土留め壁の変形は小さく、軟弱地盤や深い掘削に適用できる。

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この過去問の解説 (1件)

01

適当でないのは、自立式土留めについて「支保工がないため変形は小さく、軟弱地盤や深い掘削に適用できる」としている記述です。
自立式土留めは支保工がないため、むしろ土留め壁の変形が大きくなりやすく、深掘りや軟弱地盤には向きません。

選択肢1. 控え杭タイロッド式土留めは、背面地盤中に控え杭を設置し、土留め壁とタイロッドでつなげる工法で、掘削周辺に控え杭及びタイロッドを設置するための敷地が必要となる。

控え杭タイロッド式土留めは、掘削の外側(背面地盤側)に控え杭を打ち込み、土留め壁とタイロッドで連結して支える工法です。
この構造にするためには、

控え杭を設置するためのスペース・タイロッドを通すためのスペース

が掘削の周囲に必要になります。

したがって、「控え杭やタイロッドを設置するための敷地が必要になる」という説明は妥当です。

選択肢2. アンカー式土留めは、掘削周辺地盤中に定着させた土留めアンカーと掘削側の地盤の抵抗により土留め壁を支持する工法で、掘削周辺に地下埋設物があると適用は困難である。

アンカー式土留めは、地盤中に打ち込んだアンカー(グラウンドアンカー)で土留め壁を引っ張って支える工法です。
アンカーは周辺地盤の抵抗を利用して力を伝えるため、

・周辺地盤に十分な強度があること

・アンカーを打ち込む空間に障害物が少ないこと

が条件になります。

そのため、掘削周辺に地下埋設物(上下水道管、電線管、既存構造物など)が多い場合、アンカーを通せず適用が難しくなるという説明は適切です。

選択肢3. 切梁り式土留めは、支保工と掘削側の地盤の抵抗によって土留め壁を支持する工法で、現場状況に応じた支保工の数、配置等の変更は可能である。

切梁式土留めは、土留め壁同士を鉄骨などの切梁(水平材)で押し合うようにして支える工法です。
この工法では、掘削の深さや幅、周辺の状況(重機の出入り、作業スペースなど)に応じて、切梁の段数や位置・太さを変更して計画することがよくあります。

記述にある「支保工の数、配置等を現場状況に応じて変更できる」という内容は、切梁式土留めの特徴と合っています。

選択肢4. 自立式土留めは、主として掘削側の地盤の抵抗により土留め壁を支持する工法で、支保工がないため土留め壁の変形は小さく、軟弱地盤や深い掘削に適用できる。

自立式土留めは、切梁やアンカーなどの支保工を設けず、土留め壁自体の剛性と地盤の抵抗で持たせる工法です。
しかし、この工法には次のような特徴があります。

・支保工がない分、土留め壁の変形が大きくなりやすい

・壁の根入れや地盤条件に強く依存するため、深い掘削や軟弱地盤にはあまり適さない

ところが選択肢では、

「支保工がないため土留め壁の変形は小さい」「軟弱地盤や深い掘削に適用できる」

と説明しています。これは、実際の性質と真逆の内容になっています。
したがって、この記述が適当でないものに当たります。

まとめ

土留め工法の選択は、地盤条件・周辺の敷地条件・掘削の深さによって変わります。
それぞれの工法の「支え方の仕組み」と「適した条件」をセットで覚えておくと、類似問題にも対応しやすくなります。

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