1級土木施工管理技士 過去問
令和7年度
問21 (問題A ユニットc 問1)

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問題

1級土木施工管理技士試験 令和7年度 問21(問題A ユニットc 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

鋼道路橋の架設上の留意事項に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
  • ベント工法では、橋桁の載荷位置をベント等の重心位置から偏心させないことを基本とし、ベント等の転倒に対する安全照査は、載荷位置を偏心させない場合は省略できる。
  • 送出し工法では、荷重の支持点等、局部的に応力が集中する箇所については、必要に応じて本体構造の補強を行う必要がある。
  • 曲線桁橋では、架設中の各段階において、ねじれ、傾き及び転倒等が生じないように重心位置を把握し、ベント等の反力を検討する。
  • 斜橋では、架設中のたわみや主桁の傾き等は、架設の各段階において算定し、架設中の桁のそりを管理する必要がある。

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この過去問の解説 (1件)

01

適当でないのは、ベント工法で、橋桁の載荷位置を重心から偏心させない場合は、転倒に対する安全照査を省略できると述べている記述です。
偏心させないように計画しても、転倒や安定性の安全照査は必ず行う必要があるため、この内容は誤りです。

選択肢1. ベント工法では、橋桁の載荷位置をベント等の重心位置から偏心させないことを基本とし、ベント等の転倒に対する安全照査は、載荷位置を偏心させない場合は省略できる。

この記述が適当でない内容です。

・ベント工法は、仮設の支柱(ベント)で橋桁を仮受けして架設する工法です。
・橋桁の載荷位置を、できるだけベントの重心に近い位置に載せることは、安全上望ましい考え方です。
 偏心が大きいと、片側に大きなモーメントがかかり、転倒の危険性が高まるからです。

しかし、たとえ「偏心させない計画」にしていても、実際の施工では

荷重のかかり方・誤差や施工のずれ・地盤条件のばらつき

などにより、完全に偏心ゼロとは限りません。

そのため、ベントの転倒や滑動に対する安全照査を省略してよいという考え方は誤りです。
設計・施工では、偏心を小さくする計画に加え、必ず安全照査を行うことが求められます。

 

選択肢2. 送出し工法では、荷重の支持点等、局部的に応力が集中する箇所については、必要に応じて本体構造の補強を行う必要がある。

この記述は適切な内容です。

送出し工法は、橋桁を橋台側から少しずつ前方へ押し出していく工法です。
・このとき、押し出し中は完成時とは異なる位置で橋桁を支えるため、支点やローラーの部分、カンチレバー状になっている先端付近などに、
 局部的に大きな応力が集中することがあります。

そのため、送出し時には、支点部や補剛リブの追加、ウェブやフランジの局部補強など、本体構造の補強を行う必要が出てくる場合があります。この説明は、送出し工法の実務での注意点と合っています。

選択肢3. 曲線桁橋では、架設中の各段階において、ねじれ、傾き及び転倒等が生じないように重心位置を把握し、ベント等の反力を検討する。

この記述も適切な内容です。

曲線桁橋では、平面が曲線になっているため、架設中にねじれや片側への偏りが生じやすい構造です。
特に、曲線の内側・外側で反力のバランスが崩れると、傾きやねじれ、最悪の場合は転倒の危険があります。

そのため、架設の各段階で

◯橋桁全体の重心位置を把握すること

◯ベントや支保工に生じる反力を計算し、バランスを確認すること

が重要になります。
 

選択肢4. 斜橋では、架設中のたわみや主桁の傾き等は、架設の各段階において算定し、架設中の桁のそりを管理する必要がある。

この記述も適切な内容です。

斜橋は、橋軸と支承線(橋台や橋脚の向き)が直角でない橋です。
・この場合、支点位置や支え方が左右でずれるため、架設中にたわみや傾きが不均一に出やすいという特徴があります。

そのため、架設の各ステップごとに、たわみ量や主桁の傾きを計算すること、完成形を見据えて、桁のそり(キャンバー)を管理すること

が重要になります。

まとめ

橋の架設問題では、工法ごとの特徴だけでなく、
「どこで力を受けていて」「どんな危険があるか」を意識して、安全照査や変形管理の必要性を整理しておくと、類題にも対応しやすくなります。

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