1級土木施工管理技士 過去問
令和7年度
問22 (問題A ユニットc 問2)

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問題

1級土木施工管理技士試験 令和7年度 問22(問題A ユニットc 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

鋼道路橋の溶接施工上の留意事項に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
  • 組立溶接は、本溶接と同様に管理が必要であり、組立終了時までにスラグを除去し、溶接部表面に割れがないことを確認しなければならない。
  • 開先溶接及び主桁のフランジと腹板のすみ肉溶接では、原則としてエンドタブを取り付け、溶接の始端及び終端が溶接する部材上に入らないようにしなければならない。
  • 溶接を行う部分は、溶接に有害な黒皮、錆、塗料、油等の除去を行えば、溶接線近傍はあらためて乾燥させなくてよい。
  • 設計において、特に仕上げの指定のない開先溶接は、ビード幅と余盛高さが規定の範囲内であれば、余盛りの仕上げはしなくてよい。

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この過去問の解説 (1件)

01

適当でないのは、溶接部の周囲について「黒皮や錆、塗料、油などを除去すれば、あらためて乾燥させなくてよい」としている記述です。
鋼道路橋の溶接では、溶接部に水分や湿り気が残っていると、割れなどの欠陥が生じやすくなるため、清掃だけでなく乾燥も重要です。

選択肢1. 組立溶接は、本溶接と同様に管理が必要であり、組立終了時までにスラグを除去し、溶接部表面に割れがないことを確認しなければならない。

組立溶接(タック溶接など)は、部材の位置決めをするための仮の溶接ですが、ここに欠陥があると、そのまま本溶接に悪影響を与えます。
そのため、次のような管理が必要になります。

・スラグやはねた金属をきちんと除去すること
・溶接部表面に割れや欠けがないかを確認すること

本溶接だけでなく、組立溶接も丁寧に管理する必要があるという点で、この記述は適切です。

 

選択肢2. 開先溶接及び主桁のフランジと腹板のすみ肉溶接では、原則としてエンドタブを取り付け、溶接の始端及び終端が溶接する部材上に入らないようにしなければならない。

エンドタブは、溶接の始まりと終わりの部分を部材の外側に逃がすための小さな鋼片です。エンドタブを使う理由は次のとおりです。

・溶接の始端・終端では電流が安定しにくく、割れや溶け込み不足などの欠陥が出やすい
・エンドタブの上で溶接をスタート・終了させることで、欠陥が構造本体の中に残らないようにする

特に、開先溶接や主桁フランジと腹板のすみ肉溶接など、重要な部分では、エンドタブの使用が原則とされています。
そのため、この記述は適切です。

選択肢3. 溶接を行う部分は、溶接に有害な黒皮、錆、塗料、油等の除去を行えば、溶接線近傍はあらためて乾燥させなくてよい。

この記述が適当でない内容です。

溶接の品質に悪い影響を与えるものには、黒皮、錆、塗料、油だけでなく、水分も含まれます。
水分が残っていると、次のような問題が起こりやすくなります。

・水分が高温で分解して水素ガスが発生し、溶接金属や熱影響部に水素割れが発生しやすくなる
・ブローホール(気泡状の欠陥)の原因になる

そのため、溶接前には

・黒皮、錆、塗料、油などを除去すること
・必要に応じて、溶接部周辺を乾燥させること(雨や結露後など)

が大切です。「乾燥させなくてよい」と言い切っている点が誤りです。

選択肢4. 設計において、特に仕上げの指定のない開先溶接は、ビード幅と余盛高さが規定の範囲内であれば、余盛りの仕上げはしなくてよい。

開先溶接の余盛りは、次のような考え方で扱われます。

・設計で「余盛りを削って平滑に仕上げること」などの指定がある場合は、指示どおりにグラインダ仕上げなどを行う
・特に仕上げの指定がなく、ビード幅や余盛り高さが規定範囲内であれば、そのままでも支障ないとされる

余盛りは、規定以上に高すぎると応力集中の原因になりますが、規定内であれば許容されます。
したがって、「設計で仕上げの指定がなく、規定範囲内であれば余盛り仕上げをしなくてよい」という説明は適切です。

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