1級土木施工管理技士 過去問
令和7年度
問23 (問題A ユニットc 問3)

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問題

1級土木施工管理技士試験 令和7年度 問23(問題A ユニットc 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

鋼橋に用いる耐候性鋼材に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
  • 耐候性鋼材で緻密な錆層を生成させるためには、雨水の滞留等で鋼材表面の湿潤状態が継続しないことや、乾湿の繰返しがないこと等の環境条件が要求される。
  • 耐候性鋼材を用いた箱桁や鋼製橋脚等の内面は、閉鎖された空間であり結露が生じやすいため、普通鋼材と同様に内面用塗装仕様とする。
  • 耐候性鋼材は、耐候性鋼用表面処理剤を塗布したものであれば、塩分過多な地域での使用が推奨される。
  • 耐候性鋼材の黒皮の除去には、原板ブラストによる方法と製品ブラストによる方法があり、原板ブラストは、製品ブラストに比べ、汚れが少なく錆の均一性に優れている。

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この過去問の解説 (1件)

01

適当なのは、「耐候性鋼材を用いた箱桁や鋼製橋脚等の内面は、閉鎖された空間であり結露が生じやすいため、普通鋼材と同様に内面用塗装仕様とする。」という記述です。
箱桁や鋼製橋脚の内部は湿気がこもりやすく、耐候性鋼材の「錆で自分を守る」性質が十分に発揮されないので、普通鋼と同じように塗装で守る必要があります。

選択肢1. 耐候性鋼材で緻密な錆層を生成させるためには、雨水の滞留等で鋼材表面の湿潤状態が継続しないことや、乾湿の繰返しがないこと等の環境条件が要求される。

「雨水の滞留などで表面が濡れっぱなしにならないこと」はよい条件として書かれていますが、
「乾湿の繰返しがないこと」が条件と書かれているところが誤りです。

耐候性鋼材では、濡れる→乾く→また濡れるというような乾湿の繰り返しがあることで、表面に緻密で保護性能の高い錆層(保護さび)が成長します。
逆に、ずっと濡れたまま・ずっと乾いたままのような状態では、期待どおりの保護さびができません。

したがって、この選択肢は途中までは良い内容ですが、乾湿の繰返しを「ないこと」としている点が誤りです。

選択肢2. 耐候性鋼材を用いた箱桁や鋼製橋脚等の内面は、閉鎖された空間であり結露が生じやすいため、普通鋼材と同様に内面用塗装仕様とする。

この選択肢が適当な内容です。

箱桁や鋼製橋脚の内側は、外から見ると閉じた空間になっており、

・外気の通風が悪い
・結露が起きやすい
・内部に入り込んだ水分が乾きにくい

といった環境になりやすいです。

耐候性鋼材は、本来は雨で表面が洗われ、乾燥も十分に起こる屋外の大気中で力を発揮する材料です。しかし箱桁内部のように、湿った状態が続いたり、結露が頻繁に起きたりする場所では、保護さび層が安定せず、腐食が進みやすくなります。

そのため、耐候性鋼材を使っていても、箱桁や鋼製橋脚の内面は普通鋼材と同じように塗装で保護する、という扱いになります。
 

選択肢3. 耐候性鋼材は、耐候性鋼用表面処理剤を塗布したものであれば、塩分過多な地域での使用が推奨される。

この選択肢は誤りです。

ここでは、
「耐候性鋼用表面処理剤を塗っていれば、塩分が多い地域での使用が推奨される」と書かれていますが、これは一般的な考え方とは逆です。

耐候性鋼材は、塩分が多い環境(海岸部、融雪剤を大量にまく道路など)では、保護さびがうまく形成されにくく、むしろ腐食が進みやすいことが知られています。
このため、塩分が多い地域では

・耐候性鋼材そのものの使用を制限する
・使う場合でも、基本的に塗装でしっかり保護する

といった運用がなされており、「推奨される」とまでは言えません。塩分過多な地域での無塗装利用を積極的に勧めるような表現は誤りと考えます。

選択肢4. 耐候性鋼材の黒皮の除去には、原板ブラストによる方法と製品ブラストによる方法があり、原板ブラストは、製品ブラストに比べ、汚れが少なく錆の均一性に優れている。

前半の「黒皮除去の方法として原板ブラストと製品ブラストがある」という部分はよく使われる分類ですが、
後半の『原板ブラストの方が汚れが少なく、錆の均一性に優れている』という評価は適切ではありません。

実際には、

・原板ブラストは「板材の段階」での処理で、その後の加工・溶接・保管の過程で汚れやムラが生じる可能性があります。
・製品ブラストは「製品になった状態」で一括して素地調整するため、仕上がりの防食性能や錆の均一性の面で有利とされる場面が多いです。

このため、「原板ブラストの方が製品ブラストより汚れが少なく、錆の均一性に優れる」と断定するのは誤りです。

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