1級土木施工管理技士 過去問
令和7年度
問27 (問題A ユニットc 問7)

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問題

1級土木施工管理技士試験 令和7年度 問27(問題A ユニットc 問7) (訂正依頼・報告はこちら)

河川護岸に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
  • 現地の残土や土砂等を利用して植生の回復を図るかご系の護岸では、覆土に河川水を掛けること等による空隙の充塡を行い、背面土砂の流出を防ぐために吸出し防止材を設置する。
  • 河床が低下傾向の河川において、復旧護岸の基礎を埋め戻す際は、可能な限り粒径の大きい材料で寄石すること等により、粗度を小さくして護岸近傍の流速を低減する等の工夫を行う。
  • 護岸には、一般的に水抜きは設けないが、掘込河道等で残留水圧が大きくなる場合には、必要に応じて水抜きを設けるものとする。
  • 縦帯工は、護岸の法肩部の破損を防ぐために設け、横帯工は、護岸の変位や破損が他に波及しないよう絶縁するために、法覆工の延長方向の一定区間ごとに設ける。

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この過去問の解説 (1件)

01

適当でないのは、河床が低下傾向の河川で、基礎の埋め戻しにできるだけ粒径の大きい材料を使って「粗度を小さくして」護岸近傍の流速を低減すると述べている記述です。
粒径の大きい材料を使うと、一般には粗度は大きくなり、それによって流速が落ちる方向に働きます。「粗度を小さくして流速を低減する」という部分が内容と合っていません。

選択肢1. 現地の残土や土砂等を利用して植生の回復を図るかご系の護岸では、覆土に河川水を掛けること等による空隙の充塡を行い、背面土砂の流出を防ぐために吸出し防止材を設置する。

かごマットやかご枠に土を詰めて植生を復元する工法では、覆土の中に空隙が多いと、後で土が沈んで段差ができたり、流れで土砂が抜けやすくなります。そこで、河川水を掛けて細かい土を行き渡らせ、空隙をできるだけ埋めておくことが有効です。

また、護岸の背面側から土砂が流れ出すと、空洞ができて護岸が沈下・変形する危険があります。
そのため、吸出し防止材(フィルター材、ジオテキスタイルなど)を設置して、土だけが抜けないようにする

という考え方は、かご系護岸の施工上のポイントと合っています。

選択肢2. 河床が低下傾向の河川において、復旧護岸の基礎を埋め戻す際は、可能な限り粒径の大きい材料で寄石すること等により、粗度を小さくして護岸近傍の流速を低減する等の工夫を行う。

河床が下がりやすい河川では、

抗洗掘性(流れに削られにくいこと)を高めるため、粒径の大きい石やブロックで基礎をつくること自体はよく行われます。

しかし、この選択肢の問題点は、

・粒径の大きい材料を使うと、一般に河床の粗度(デコボコの度合い)は大きくなること

・粗度が大きいほど、エネルギー損失が増え、流速はむしろ小さくなりやすいこと

にあります。

それにもかかわらず、この記述では

「粒径の大きい材料で寄石する」

「粗度を小さくして流速を低減する」

と書かれており、「粒径が大きい材料」と「粗度を小さくする」が矛盾しています。
本来は粗度を大きくして流速を低減するという方向になります。

したがって、この選択肢は適当ではありません。

選択肢3. 護岸には、一般的に水抜きは設けないが、掘込河道等で残留水圧が大きくなる場合には、必要に応じて水抜きを設けるものとする。

河川護岸(法覆護岸)は、通常は盛土の法面を覆う形で施工され、背面の土が比較的水を通しやすく、過大な水圧がこもりにくい構造となっています。
そのため、

一般の堤防護岸では、常に水抜き管を設けるわけではない、

しかし、掘込河道のように、背面に水がたまりやすく、残留水圧が大きくなりそうな場合には、水抜き(排水)を設けて水圧を逃がすことが必要になるという考え方は妥当です。条件付きで水抜きを検討する、という書き方になっており、護岸設計の考え方と合っています。

選択肢4. 縦帯工は、護岸の法肩部の破損を防ぐために設け、横帯工は、護岸の変位や破損が他に波及しないよう絶縁するために、法覆工の延長方向の一定区間ごとに設ける。

法覆護岸では、表面を覆うブロックやコンクリートが一体で大きくずれたり、壊れた部分が連続して広がったりするのを防ぐために、帯状の構造を入れることがあります。

縦帯工

一般に法肩部や法先部などに沿って設けられ、

法面の上端部などが局部的に崩れないようにする役割があります。

横帯工

法面の途中を横断する形で、一定間隔ごとに設けられ、

もし一部が壊れても、その区間で止めて、他の区間へ破損が広がらないようにする「ストッパー」の役割を持ちます。

この選択肢は、縦帯工と横帯工の目的と設置位置を簡潔にまとめた内容になっています。

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