1級土木施工管理技士 過去問
令和7年度
問29 (問題A ユニットc 問9)

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問題

1級土木施工管理技士試験 令和7年度 問29(問題A ユニットc 問9) (訂正依頼・報告はこちら)

砂防堰堤の施工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
  • コンクリートの打込み前の岩盤は、溜り水はあってはならないが、打ち込まれるコンクリートが十分馴染むように、湿潤状態とする必要がある。
  • 砂礫基礎の仕上げ面付近にある大転石は、その1/2以上が地下にもぐっていると予想される場合は取り除く必要はないので存置する。
  • 露出によって風化が急速に進行する岩質の基礎の場合は、コンクリートの打込み直前に仕上げを行うか、モルタルあるいはコンクリートで吹付けを行っておく必要がある。
  • 砂礫基礎の仕上げ面付近の掘削は、掘削用重機のクローラ(履帯)等によって密実な地盤がかく乱されることを防止するため0.5m程度は人力掘削とする。

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この過去問の解説 (1件)

01

適当でないのは、「砂礫基礎の仕上げ面付近にある大転石は、その1/2以上が地下にもぐっていると予想される場合は取り除く必要はないので存置する。」という記述です。

砂防堰堤の砂礫基礎では、仕上げ面付近の大きな転石は、原則として十分に埋まっている場合だけ残してよく、それも「2/3以上が地下」のような厳しめの条件です。
「1/2以上」でも良いとしてしまうと、基礎面がでこぼこになりやすく、基礎として望ましくありません。

選択肢1. コンクリートの打込み前の岩盤は、溜り水はあってはならないが、打ち込まれるコンクリートが十分馴染むように、湿潤状態とする必要がある。

岩盤の基礎にコンクリートを打つときは、
 - 溜まり水や砂・泥は残さないこと
 - ただし岩盤表面が乾ききっていると、コンクリート中の水分が岩盤に吸われてしまい、付着が悪くなります。

そのため、実際の仕様書でも
「打込み前に溜水や砂を除去し、基礎岩盤面を湿潤状態にしてからモルタルを塗り、その上にコンクリートを打設する」
という扱いになっています。この記述は、その考え方と一致しているので、適切です。

選択肢2. 砂礫基礎の仕上げ面付近にある大転石は、その1/2以上が地下にもぐっていると予想される場合は取り除く必要はないので存置する。

・砂防堰堤の基礎が砂礫の場合、仕上げ面付近に大きな転石があると、
 - 基礎面が大きく凸凹になる
 - 堰堤本体コンクリートとの一体性が悪くなる
 などの原因になります。

・実務では、
 「その2/3以上が地下にもぐっている場合は残してよい」
 というように、かなり深く埋まっている場合だけ残置可とする基準が示されています。

この選択肢では「1/2以上が地下」としており、残して良い条件をゆるめすぎています
半分だけ埋まっている石でも残してよいことになり、基礎仕上げ面が不均一になりやすくなります。

そのため、この記述が「適当でない」内容になります。

選択肢3. 露出によって風化が急速に進行する岩質の基礎の場合は、コンクリートの打込み直前に仕上げを行うか、モルタルあるいはコンクリートで吹付けを行っておく必要がある。

風化しやすい岩盤は、長時間露出させておくと表面がボロボロになり、基礎としての強さが落ちてしまいます。

そのため、
 ◯打設直前に仕上げを行う(掘削→すぐに整形→コンクリート)
 ◯あるいは一度吹付けモルタルなどで覆い、風化を防ぐ

といった対策を取るのが一般的です。

この記述は、そうした注意点をそのまま表しており、適切です。

選択肢4. 砂礫基礎の仕上げ面付近の掘削は、掘削用重機のクローラ(履帯)等によって密実な地盤がかく乱されることを防止するため0.5m程度は人力掘削とする。

砂礫基礎の表層は、しまった(密実な)地盤が得られていることが大切です。掘削機械のクローラが仕上げ面近くまで乗り入れると、その荷重で地盤がゆるみ、支持力が低下するおそれがあります。

そこで、

・仕上げ面付近、だいたい0.5m程度の厚さの部分は人力で仕上げる

・機械のクローラで直接踏み荒らさないようにする

という施工方法が標準的に示されています。この記述は、その考え方に沿った内容で、適切です。

まとめ

砂防堰堤の基礎に関する問題では、
「基礎をできるだけ強く・均一に保つために、どんなものを残し、どんなものを除去するのか」
「どの部分を機械で、どの部分を人力で仕上げるのか」
という考え方を意識しながら読むと、選択肢の良し悪しを判断しやすくなります。

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