1級土木施工管理技士 過去問
令和7年度
問30 (問題A ユニットc 問10)

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問題

1級土木施工管理技士試験 令和7年度 問30(問題A ユニットc 問10) (訂正依頼・報告はこちら)

地すべり防止工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
  • 地すべり地域内に設ける地表水排除工は、柔軟な構造とし、ある程度の変状に対してもそれに応じて機能を維持でき、また修理の容易なものとする。
  • 集水井に設ける集水ボーリングは、滞水層ごとに一ないし数段、放射状に配置し、浅層地下水の排除も同時に行うものとする。
  • 排土工は、排土による応力除荷に伴う吸水膨潤による強度劣化の範囲を斜面表層部に限定するため、原則として、地すべり全域に渡って、斜面に平行に切土を行うものとする。
  • 押え盛土工は、盛土部の下方斜面に潜在性の地すべりがある場合、下方斜面の地すべりを誘発する可能性があるので、盛土部基盤の安定性について十分に検討を行うものとする。

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この過去問の解説 (1件)

01

適当でない記述は、排土工に関する説明です。
排土工は、地すべり土塊の一部を取り除いてすべり力を小さくする工法ですが、「地すべり全域に渡って斜面に平行に切土する」のが原則ではありません。通常は、頭部など必要な範囲に限定して行います。

選択肢1. 地すべり地域内に設ける地表水排除工は、柔軟な構造とし、ある程度の変状に対してもそれに応じて機能を維持でき、また修理の容易なものとする。

地すべり地では、斜面が少し動いたり沈下したりすることがあります。そのため、地表水を排除する水路や側溝などは、

・少しの変形では壊れにくい柔軟な構造にする

・壊れても修理しやすい形にしておく

ことが大切です。
この記述は、地表水排除工の考え方として適切です。

選択肢2. 集水井に設ける集水ボーリングは、滞水層ごとに一ないし数段、放射状に配置し、浅層地下水の排除も同時に行うものとする。

集水井は、地すべり地内の地下水位を下げるための構造物です。
そこから周囲に向かって、滞水層ごとに、放射状に集水ボーリング(横ボーリング)を設けて

地下水を抜いていきます。

このとき、深い滞水層だけでなく、必要に応じて浅い地下水もあわせて排除することで、地すべり土塊全体の地下水圧を下げる効果が期待できます。記述の内容は、集水井と集水ボーリングの一般的な説明と合っており、適切です。

選択肢3. 排土工は、排土による応力除荷に伴う吸水膨潤による強度劣化の範囲を斜面表層部に限定するため、原則として、地すべり全域に渡って、斜面に平行に切土を行うものとする。

排土工は、斜面上部などの土を取り除いて、すべり方向の力(滑ろうとする力)を減らすための工法です。

この記述の問題点は次のとおりです。

排土工は、原則として地すべり全域に渡って行うものではありません。
通常は、頭部や特定の範囲に限定して切土し、土塊を軽くします。

「斜面に平行に切土を行う」という表現も不自然です。
一般的には、斜面形状や安定計算の結果に応じて、必要な位置と厚さだけを切り取る計画をします。

また、「応力除荷に伴う吸水膨潤による強度劣化の範囲を表層部に限定するため」という説明も、排土工の主目的とはずれています。
排土工の主なねらいは、土塊の自重を減らし、すべり力を小さくすることです。

このように、排土工の目的や施工範囲の説明が実務と合っていないため、この記述は適当ではありません。

選択肢4. 押え盛土工は、盛土部の下方斜面に潜在性の地すべりがある場合、下方斜面の地すべりを誘発する可能性があるので、盛土部基盤の安定性について十分に検討を行うものとする。

押え盛土工は、斜面の下部に盛土(おもり)を置いて、すべり出そうとする土塊を押さえる工法です。

しかし、下方斜面に潜在的な地すべり面がある場合、

その上に重い盛土を載せることで、かえって新たな地すべりを誘発する危険があります。

そのため、押え盛土を計画する前に、盛土の基盤となる地盤の安定性をよく検討することが重要です。

この記述は、その注意点を述べており、内容は適切です。

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