1級土木施工管理技士 過去問
令和7年度
問38 (問題A ユニットc 問18)

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問題

1級土木施工管理技士試験 令和7年度 問38(問題A ユニットc 問18) (訂正依頼・報告はこちら)

ダムの基礎処理として行うグラウチングに関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
  • コンソリデーショングラウチングは、ロックフィルダムの着岩部付近において、カーテングラウチングとあいまって遮水性の改良と基礎地盤弱部の補強を目的として行う。
  • ダムの基礎グラウチングの施工方法であるステージ注入工法は、標高の上位から下位に向かって削孔とセメントミルク注入を交互に行っていく工法である。
  • グラウチングは、ルジオン値に応じた初期配合及び地盤の透水性状等を考慮した配合切換え基準に従って、濃度の薄いものから濃いものへ順に注入を行う。
  • 水押し試験は、グラウチングによる遮水性の改良状況の把握と共に、注入するグラウトの初期濃度を決定するために行われる試験である。

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この過去問の解説 (1件)

01

「コンソリデーショングラウチングの説明をロックフィルダムに当てはめている記述」が適当でないものです。

コンソリデーショングラウチングは本来、コンクリートダムの着岩部付近で行うもので、ロックフィルダムの着岩部で行うと説明している点が誤りです。ほかの3つは、いずれもダム基礎グラウチングの標準的な考え方と合っています。

選択肢1. コンソリデーショングラウチングは、ロックフィルダムの着岩部付近において、カーテングラウチングとあいまって遮水性の改良と基礎地盤弱部の補強を目的として行う。

国のダム設計指針では、コンソリデーショングラウチングは「コンクリートダムの着岩部付近」で行うものとされています。
目的は、浸透路が短い部分の遮水性を高めること、または断層・破砕帯などの弱い部分を補強することです。
一方、ロックフィルダムのコア着岩部付近の遮水性を改良する工法として代表的なのはブランケットグラウチングです。これをコンソリデーショングラウチングと混同している点が誤りです。

説明の後半の「遮水性の改良と基礎地盤弱部の補強を目的として行う」という部分だけを見ると内容自体はコンソリの目的に合っていますが、対象が「ロックフィルダムの着岩部」になっていることがポイントで、ここが不適当になります。

選択肢2. ダムの基礎グラウチングの施工方法であるステージ注入工法は、標高の上位から下位に向かって削孔とセメントミルク注入を交互に行っていく工法である。

この記述は適切な内容です。

ダム基礎グラウチングで用いられるステージ注入工法では、ボーリング孔をいくつかの区間(ステージ)に分けて注入します。
一般的な説明では、標高の高い側(上位)のステージから順に、下位のステージへ向かって「削孔→注入」を繰り返す方法とされています。
 

したがって、「上位から下位に向かって交互に行う」という記述はポイントを押さえています。

選択肢3. グラウチングは、ルジオン値に応じた初期配合及び地盤の透水性状等を考慮した配合切換え基準に従って、濃度の薄いものから濃いものへ順に注入を行う。

この記述も適切な内容です。

グラウチングでは、注入前に水押し試験(ルジオン試験)で透水性を調べ、そのルジオン値などに応じてセメントミルクの配合(濃さ)を決めます。一般的には、最初は水セメント比の大きい「薄いセメントミルク」から注入を始め、状況を見ながら徐々に「濃い配合」に切り替えていく手順をとります。
これは、最初から濃いミルクを入れると流動性が悪く、細かい割れ目に入りにくくなるためです。

したがって、「薄いものから濃いものへ順に注入する」という説明はグラウチングの基本的な考え方に合っています。

選択肢4. 水押し試験は、グラウチングによる遮水性の改良状況の把握と共に、注入するグラウトの初期濃度を決定するために行われる試験である。

この記述も適切な内容です。

水押し試験(水圧試験、ルジオン試験)は、ボーリング孔から水を押し込み、そのときの流量と水圧から地盤の透水性(ルジオン値)を求める試験です。
この試験は、
 ・ グラウチング前後の透水性の変化を比較して、遮水性がどれだけ改善されたかを確認する
 ・ 得られたルジオン値や限界圧力から、そのステージで用いるセメントミルクの初期濃度や最高注入圧力を決める
 といった目的で用いられます。

そのため、「遮水性の改良状況の把握」と「初期濃度の決定」という二つの役割を挙げている説明は、役割をうまく押さえています。

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