1級土木施工管理技士 過去問
令和7年度
問40 (問題A ユニットc 問20)

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問題

1級土木施工管理技士試験 令和7年度 問40(問題A ユニットc 問20) (訂正依頼・報告はこちら)

トンネルの山岳工法における掘削工法に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
  • ベンチカット工法は、一般に上部半断面と下部半断面に分割して掘削する工法であり、地山が不良な場合にはベンチ長を長くする。
  • 全断面工法は、小断面のトンネルや地質の安定した地山で採用され、施工途中での地山条件の変化に対する順応性が高い。
  • 補助ベンチ付き全断面工法は、全断面工法では施工が困難となる地山において、ベンチを付けて切羽の安定を図るものである。
  • 導坑先進工法の一つである側壁導坑先進工法は、側壁脚部の地盤支持力が十分にある場合に適用される。

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この過去問の解説 (2件)

01

適当な記述は、
「補助ベンチ付き全断面工法は、全断面工法では施工が困難となる地山において、ベンチを付けて切羽の安定を図るものである。」
です。

全断面工法だけでは切羽(掘削面)の安定が心配なときに、「補助ベンチ」という段差を設けて安定させる、という内容で、山岳トンネルの掘削工法の説明として合っています。

選択肢1. ベンチカット工法は、一般に上部半断面と下部半断面に分割して掘削する工法であり、地山が不良な場合にはベンチ長を長くする。

この記述は不適当です。

ベンチカット工法は、トンネル断面を上部と下部に分けて掘削する工法である点はよいです。

しかし、地山が不良な場合にベンチ長を長くするという部分が逆です。

地山が悪いほど、ベンチ(上半と下半の「離れ」)を短くして、支保工を早く閉合し、切羽の安定を高める必要があります。

ベンチ長を長くすると、未支持の部分が増えて不安定になりやすくなってしまいます。

そのため、地山が不良な場合のベンチ長の考え方が誤りです。

選択肢2. 全断面工法は、小断面のトンネルや地質の安定した地山で採用され、施工途中での地山条件の変化に対する順応性が高い。

この記述も不適当です。

全断面工法は、断面が小さいトンネルや、地質が良好で安定している場合に採用される、という前半部分は合っています。

しかし、「地山条件の変化に対する順応性が高い」というのは誤りです。

全断面工法は一度に大きな断面を掘るため、地山の状態が変わったときに、掘削パターンを細かく変えることが難しく、順応性はむしろ低い工法です。

条件の変化に柔軟に対応したい場合は、ベンチカット工法や導坑先進工法など、分割して掘る工法の方が向いています。

したがって、「順応性が高い」という評価が誤りです。

選択肢3. 補助ベンチ付き全断面工法は、全断面工法では施工が困難となる地山において、ベンチを付けて切羽の安定を図るものである。

この記述が適当です。

補助ベンチ付き全断面工法は、基本は全断面工法ですが、切羽の安定が心配な場合に、断面下部に短いベンチ(段差)を設けて施工します。

全断面工法だけでは不安定になりやすい地山で、切羽の安定と施工性の向上をねらって採用されます。ベンチを設けることで、支保工の早期閉合や、上半・下半の同時または効率的な施工がしやすくなります。

全断面工法と地山条件との関係、補助ベンチの役割が正しく説明されています。

選択肢4. 導坑先進工法の一つである側壁導坑先進工法は、側壁脚部の地盤支持力が十分にある場合に適用される。

この記述は不適当です。

側壁導坑先進工法は、トンネルの左右側壁位置に、先に小さな導坑(側壁導坑)を掘り、その導坑を利用して側壁をつくり、その後に本体断面を掘り進める工法です。

実際には、側壁脚部の地盤支持力が不足する場合や、土被りが小さい土砂地山で地表面沈下を抑えたい場合などに適用されます。

側壁導坑や側壁コンクリートで脚部を補強し、支持力を確保しながら、安全に掘削することが目的だからです。

選択肢では「支持力が十分にある場合に適用」と書かれており、適用条件が実際とは逆になっています。

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02

トンネルの山岳工法における掘削工法について、四つの記述から実態と合っているものを選ぶ問題ですね。

ベンチカット、全断面、補助ベンチ付き全断面、側壁導坑先進と、地山条件と工法の対応関係が問われていて、それぞれの工法が「どんな地山で何を狙うか」をきちんと押さえる必要があります。

四肢を当てていくと、補助ベンチ付き全断面工法についての記述が標準的な扱いと素直に整合していることが見えてきます。

選択肢1. ベンチカット工法は、一般に上部半断面と下部半断面に分割して掘削する工法であり、地山が不良な場合にはベンチ長を長くする。

ベンチカット工法は、トンネル断面を上半と下半に分けて掘削する工法で、その「上半と下半の離れ」をベンチ長と呼びます。

地山が不良な場合は、未支持区間を短く保って支保工の早期閉合に持っていきたいので、ベンチ長は短くする方向で計画するのが定石です。

記述では「地山が不良な場合にはベンチ長を長くする」とされていますが、これは方向が逆向きで、適当でない選択肢に当たります。

選択肢2. 全断面工法は、小断面のトンネルや地質の安定した地山で採用され、施工途中での地山条件の変化に対する順応性が高い。

全断面工法は、一回の施工で全断面を掘り抜く工法で、施工速度を稼げる反面、断面が大きい分だけ切羽が不安定になりやすく、適用は小断面トンネルや地山の良好な区間に限定されるのが一般的です。

一気に断面を抜くので、施工途中で地山が変わったときに掘削パターンを切り替える柔軟性が乏しく、順応性はむしろ低い性格を持っています。

記述では「順応性が高い」とされていますが、これは評価の向きが逆で、適当でない選択肢に当たります。

選択肢3. 補助ベンチ付き全断面工法は、全断面工法では施工が困難となる地山において、ベンチを付けて切羽の安定を図るものである。

補助ベンチ付き全断面工法は、全断面工法だけでは切羽の自立が難しい地山に対して、下部に短い補助ベンチを設けて施工しやすさと切羽の安定を両立させる工法です。

ベンチを設けることで、上半側で支保工を効かせながら下半側を追従させていく流れがつくれるため、地山条件が中程度のところで広く採用されています。

記述の整理はトンネル標準示方書の取扱いどおりで、適当な内容に当たります。

選択肢4. 導坑先進工法の一つである側壁導坑先進工法は、側壁脚部の地盤支持力が十分にある場合に適用される。

側壁導坑先進工法は、本体断面の前にトンネル左右側壁位置に小さな導坑を先行掘削し、その導坑から側壁コンクリートを打ってから本体断面を抜くという段取りで進めます。

そもそも側壁脚部の地盤支持力が不足している場合や、土被りが薄く地表面沈下を抑えたい場合などに、脚部を先に補強する目的で採用されるのがこの工法です。

記述では「側壁脚部の地盤支持力が十分にある場合に適用される」とされていますが、適用条件が逆向きになっているため、適当でない選択肢に当たります。

まとめ

トンネル山岳工法の掘削工法は、(1)地山の良し悪し、(2)断面の大きさ、(3)施工順応性の三つで切り分けると整理しやすくなります。

全断面は良好地山、ベンチカットは中・不良地山(不良ほどベンチ短く)、補助ベンチ付き全断面は全断面で持ちこたえられない地山、側壁導坑先進は脚部支持力不足、というセットを覚えておくと、本問のような評価の向きを反対にしてくる引っかけにも対応できますね。

地山と工法のペアを一行ずつ書き起こしておくと、いざというときの判別の手がかりになります。

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