1級土木施工管理技士 過去問
令和7年度
問44 (問題A ユニットc 問24)

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問題

1級土木施工管理技士試験 令和7年度 問44(問題A ユニットc 問24) (訂正依頼・報告はこちら)

ケーソンの施工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
  • ケーソンに大廻しワイヤを回して回航する場合には、原則として二重回しとし、その取付け位置はケーソンの吃水線以下で、できれば浮心付近の高さに取り付ける。
  • ケーソンの据付け時の注水方法は、各隔室に平均的に注水してヘッド差を小さくする必要があり、隔室間に導水孔を設ける場合もある。
  • ケーソンの据付け時には、うねり等によるケーソンどうしの接触が生じるので、破損防止策として、ケーソン相互間にゴムタイヤ等の緩衝材を用いる。
  • ケーソンの据付けは、ケーソンを据付場所まで曳航し、所定の位置上にあることを確かめてから注水を開始し、注水を開始したら中断することなく一気に着底させる。

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この過去問の解説 (1件)

01

適当でない記述は、
「ケーソンの据付けは、所定の位置上にあることを確かめてから注水を開始し、注水を開始したら中断することなく一気に着底させる。」
という内容のものです。

据付け中は、姿勢の傾きや位置ずれを見ながら、必要に応じて注水量を調整したり、一時的に止めたりすることがあります。「中断せず一気に着底させる」と決めつけている点が不適当です。

選択肢1. ケーソンに大廻しワイヤを回して回航する場合には、原則として二重回しとし、その取付け位置はケーソンの吃水線以下で、できれば浮心付近の高さに取り付ける。

この記述は適切です。

大型ケーソンを曳航するときは、ケーソンの外周に大廻しワイヤを回して曳きます。

一重では切断リスクが高いため、安全性を高めるために二重回しとするのが一般的です。

取付け位置を吃水線より下、できれば浮心付近にすると、曳く力が水中で作用し、転倒モーメントが小さくなって姿勢が安定します。

選択肢2. ケーソンの据付け時の注水方法は、各隔室に平均的に注水してヘッド差を小さくする必要があり、隔室間に導水孔を設ける場合もある。

この記述も適切です。

ケーソン内部は複数の隔室に分かれており、ここに海水を注水して沈めていきます。

もし隔室ごとに水位差(ヘッド差)が大きくなると、内側からの水圧の違いでケーソンが傾いたり、隔壁に余分な力がかかったりします。

そのため、各隔室にできるだけ均等に注水してヘッド差を小さくすることが大切です。

また、隔室どうしの水位をそろえやすくするために、隔室間に導水孔(連通孔)を設ける場合があるという説明も実務に合っています。

選択肢3. ケーソンの据付け時には、うねり等によるケーソンどうしの接触が生じるので、破損防止策として、ケーソン相互間にゴムタイヤ等の緩衝材を用いる。

この記述も適切です。

ケーソンを据え付けるとき、波やうねりでケーソンが揺れ、隣のケーソンとぶつかる可能性があります。

コンクリートどうしが直接ぶつかると、角の欠けやクラックが発生し、構造上よくありません。

それを防ぐために、古タイヤやゴム製の緩衝材を間に挟んで衝撃をやわらげます。

選択肢4. ケーソンの据付けは、ケーソンを据付場所まで曳航し、所定の位置上にあることを確かめてから注水を開始し、注水を開始したら中断することなく一気に着底させる。

この記述が不適当な内容です。

確かに、ケーソンを所定の位置上に合わせてから注水を開始するという流れ自体はよく行われます。

しかし、実際の据付けでは、

ケーソンの水平・鉛直方向の位置・前後左右の傾き(トリム・ヒール)・底面の接地状況
などを確認しながら、注水量や注水速度を調整します。

状況によっては、

傾きを修正するために一時的に注水を止める、

位置ずれがあれば調整する時間をとる、
といった対応が必要です。

そのため、「注水を開始したら中断することなく一気に着底させる」と決めつけてしまうと、安全な姿勢管理や位置調整ができないことになり、不適切です。

ケーソン据付では「できるだけスムーズに沈設する」ことは大事ですが、安全優先で適宜調整・中断もあり得るというのが正しい考え方です。

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